「菩薩」

 フィギアスケートの浅田真央さんの引退会見を見ていて、何かに似ていると思って調べてみると、

奈良・中宮寺の弥勒菩薩の穏やかな横顔にそっくりでした。

 思えば、2006年のトリノオリンピックには年齢制限で出場できず、次のバンクーバー五輪では惜しくも

2位、先のソチオリンピックでは、ショートプログラム16位から、翌日のフリーの渾身の滑りで3位。総合では6位に終わりましたが、その素晴らしい演技とジャンプは今も多くの人々の瞳に焼き付いています。

 真央さんのスケートが私たちの心を打つのは、ライバルとの競い合いではなく、只ひたむきに、自分の内面と技量に向き合い、その弱さを克服するために努力を積み重ねて来たことにあるのでしょう。 またそうした中、周りのファンに対しては、いつも屈託のない笑顔を忘れず接してきました。

 菩薩(ボディサットバ)とは、仏さまへの道を、皆と手を携えて歩んでいる人のことを言います。 会見の最後に一筋の涙を流した真央さんの笑顔から、その心が少し垣間見えた気がしました。(良光)

生麦山 龍泉寺

「身は華とともに落ちぬれども、心は香りとともに飛ぶ。」 弘法大師のことばです。仏さまのもとからこの世に生まれ、また仏さまのもとへと、いつか旅立って行く私たち。身体はなくなってしまっても、幸せを願う想いは、いつまでも心から心へと受け継ぐことができるのです…。生麦山龍泉寺は横浜・鶴見の高野山真言宗のお寺です。