新型コロナウィルスを仏教から見ると…

人間の立場からは、今回の新型コロナウイルスの流行は、大変困ったことで、戦い淘汰すべき対象です。しかし、少し視点を変えると違うことが見えてきます。

 仏さまの目からみれば、生きとし生けるものは、大自然・生態系の中で全てが平等の価値を持ち、相互に関係し支え合っています。(曼(まん)荼(だ)羅(ら)の思想)

 人間も地球上で生きている以上、他の生物との関わりを避けることはできません。しかし「害虫」「害獣」「病原菌」などの言葉は、人間がその価値観・利害に基づいてレッテルを貼っているのです。

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今回のウイルスの大規模な蔓延の原因は、物や人が国境を越え自由に交流できるようになる「グローバル化」が世界で進んだことによります。少しでも「便利に」、「速く」、「多く」という思いから人間が交通・流通網を世界に発達させて、それによって物や人だけでなくウイルスも運ばれてしまいました。

「便利に」「速く」「多く」という思いは人間が「進歩」していく上の必要な原動力ですが、仏教では「欲望」に分類されます。

 行き過ぎた欲望を持った人間に対して、自然は何年か毎に、こうした厳しい警鐘を鳴らすのかもしれません。

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 また、このウイルスの蔓延によって、家にいることが強制されて、今迄忙しさの中で意識することのなかった「家庭」「家族」のかけがえのない大切さに気付かれた方も多いのではないでしょうか。(けんかが多くなったのは、実は相互理解が進んだことのようです。)

 同時に自由に人に会えなくなることで、人との関わりの大切さに気がつき、お店が閉まることで、当たり前のように手に入っていたものが、多くの人々のおかげで手にすることが出来ていたことにも気がつきます。

仏教の基本となる思想に「縁起…えんぎ」という教えがあります。全てのものは、お互いに支え合い育みあっているという教えです。

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 人間は本来自然の恵み中で大いなる仏さまに見守られて生かされている存在です。このことを忘れずにいたいものです。自然の生態系の中で、それこそ人間が悪性の「ウイルス」にならないように…。

生麦山 龍泉寺

「身は華とともに落ちぬれども、心は香りとともに飛ぶ。」 弘法大師のことばです。仏さまのもとからこの世に生まれ、また仏さまのもとへと、いつか旅立って行く私たち。身体はなくなってしまっても、幸せを願う想いは、いつまでも心から心へと受け継ぐことができるのです…。生麦山龍泉寺は横浜・鶴見の高野山真言宗のお寺です。