願いの力
1.災害の続く中で
今年はお正月の元旦から、石川県を中心に地震が発生し大きな被害がありました。また、最近では九州をはじめ関東でも大きな地震があり。「南海トラフ地震」の前触れかと心配されました。続いて大きな台風が立て続けに発生し、列島に大雨の被害がもたらされました。また、昨日も石川県で集中豪雨による被害が出ています。こうした災害に遭われた皆様をお見舞いし、日常が一日も早く回復されることをご祈念致します。更に昨年に続いて酷暑が続き、多くの方が体調を崩されました。感染症もなかなか収束しません。今こうした自然の力を前にして改めて思うことは、人間が災害を予測し防ぐ力には限りがあるということです。
2.願いの力
いま、少子化高齢化・人口減少、またAIなどの科学技術の進展など、社会が激しい勢いで変化しています。では、そうした時の流れの中でも、変わらずに価値のあるものとは一体なんでしょうか。
弘法大師は、「この世の中が続き、悩み苦しむ人々が絶えない限り、全ての人々を仏の教えによって幸せへ導いていく」という壮大な願いを持たれ、永遠の禅定(入定 にゅうじょう)に入られました。それから1200年もの間、今も高野山の奧之院から人々の幸せを祈って下さっています。
この弘法大師の願いとは、大師が教えを求めて中国に渡り巡り会った師匠、恵果和尚(けいかかしょう)に託された「蒼生の福(そうせいのさいわい。広く一般の人々の幸せ)を増せ」『御請来目録』、という願いを継承し、我が国で広く花開いたものでもありました。
「人々が幸せに共に笑顔でくらせるように」という願いは、時の流れの中で社会が変化しても、世界のどこの国にいても変わらぬ大切な願いであります。
人は悲しみの内にあってもささやかな幸せを感じることができれば笑顔がこぼれます。私たちには今、弘法大師の全ての人々の幸せを願う心を受け継ぎ、悩み苦しみの内にある全ての人々に同じ目線で接し、喜びと悲しみを分かち合い支え合うことが求められているのではないでしょうか。(令和6年9月22日 秋彼岸法会 住職法話)
和歌山・総本山金剛峯寺の紅葉(10月下旬より11月上旬)
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