「曼荼羅(まんだら)の心」


 学生の時、男声合唱団に勧誘され、訳も分からずただ毎日練習に明け暮れておりました。全国津々浦々から上京してきた、個性豊かな面々が、最初はランニングと発声練習から…。轟々とした騒音が狭いホールに響き亘ります。

「おまえたち、周りの音が聞こえるか?大切なのは、自分の声を張り上げることではなくて、まず心を合わせて自分の声を周りに合わせることだ。だから合唱っていうんだ。」指揮者の先輩の一言。

 なるほど。でもそれが出来ないから苦労しているんだが…。

  日が経つにつれて、少しずつ周りの声が聞こえるようになりました。そこで気がついたのは、顔かたちが違うように、声も千差万別ということです。また、日によってハーモニーは生き物のように変化します。

 一人一人が違っているからこそ、心と声が響き合ったとき、素晴らしい音楽が現れ、人に感動を与えることが出来るのでしょう。

 この地球には多くの人々が、それぞれの文化、信条を大切にして暮らしています。お互いの違いを尊重し、声に耳を傾けることが今こそ求められています。(良光)

  

生麦山 龍泉寺

「身は華とともに落ちぬれども、心は香りとともに飛ぶ。」 弘法大師のことばです。仏さまのもとからこの世に生まれ、また仏さまのもとへと、いつか旅立って行く私たち。身体はなくなってしまっても、幸せを願う想いは、いつまでも心から心へと受け継ぐことができるのです…。生麦山龍泉寺は横浜・鶴見の高野山真言宗のお寺です。