「三密(さんみつ)」ってなに?

1.「三密(さんみつ)」とは

  「三密(さんみつ)」といえば、新型コロナウイルスの集団発生を防ぐための、3つ

  の避けるべき密である「密閉・密集・密接」を思い浮かべる方が多いと思います。

  新型コロナウイルスの集団感染を防ぐために「三密」を避けることは大切ですが。

  「三密」とはもともと仏教の真言宗の大切な教えなのです。


2.真言宗の「三密」とは

 弘法大師が開かれた真言宗では、「身密(しんみつ)・口密(くみつ)・意密(い

 みつ)」を「三密」といいます。

  ・ 身密(しんみつ)とは、身体・行動のこと。

  ・ 口密(くみつ) とは、言葉・発言のこと。

  ・ 意密(いみつ) とは、こころ・考えのこと。

 これらの「三密」の「密」は「仏さまの秘密の働き」意味です。


3.「三業(さんごう)」

 仏教では、いのちは「身・口・意(しん・く・い)」で構成されていると考えます

 例えば、自分勝手な行動をしてしまった・悪口を言ってしまった・人を傷つけてしま

 ったなど、皆さんも反省したことがあるのではないでしょうか。密教以外の仏教宗派

 では、「身・口・意」の働きは煩悩を生み出してしまうため離れるべきだと考えるの

 です。これを「三業」といいます。


4.三業(煩悩)を転換して三密(ほとけさまの働き)にする

   ①身密…人を危めるのではなく、人に手を差し伸べる。

   ②口密…人に文句をいうのでなく、感謝の「ありがとう」を言う。

   ③意密…人を悪く思わず、思いやりの心を持つ。


仏さまもその手で、その言葉で、その心で人々を救っておられることは同じです。

真言宗では「三業」を転換すると仏さまのはたらきの「三密」になると説くのです。

この「三密」を生活の中で心がけていくと、周りの人を幸せにすることができます。

そしていつのまにか自分も幸せになっています。これを「成仏」といいます。


亡くなってから仏さまになるのではなくて、生きている間に仏さまになり、仏さ

まの働きを世に広めて幸せな世の中を作って行きましょう。この教えが弘法大師の

真言宗の教えです。 

                           

御宝号 「南無大師遍照金剛」なむだいしへんじょうこんごう


令和5(2023)年9月23日 秋彼岸会法話

秋のお彼岸。お大師さまと百日紅(さるすべり)の花

生麦山 龍泉寺

「身は華とともに落ちぬれども、心は香りとともに飛ぶ。」 弘法大師のことばです。仏さまのもとからこの世に生まれ、また仏さまのもとへと、いつか旅立って行く私たち。身体はなくなってしまっても、幸せを願う想いは、いつまでも心から心へと受け継ぐことができるのです…。生麦山龍泉寺は横浜・鶴見の高野山真言宗のお寺です。