願いの力

 テレビ朝日(朝日放送)の 「ポツンと一軒家」というテレビ番組をご存じでしょうか。

 毎回、人里離れた自然の中の一軒家に住んでおられる方を、スタッフが訪ねて紹介しています。御高齢の方も多いのですが、自給自足の生活の中、皆さん大変お元気なご様子です。こんな不便な所にと思ってしまいますが、「自分が生まれ育った思い出の場所だから」「ご先祖が大変な苦労をして拓いた場所だから」などとお話しされています。また良く見ると、その方の生活を周りから静かにサポートされる方がいることに気が付きます。

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 「総本山金剛峯寺」のある和歌山・高野山も、上空から見ると、深い森林の中にぽつんと平地が広がり沢山のお寺が配置されているのが分かります。弘法大師が修行の道場・人々の幸せを祈る場所として、更にはご自身の入定留身の場所として開かれました。開創以来1200年が経過しています。

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 「ポツンと一軒家」も、「総本山金剛峯寺」も、一人の人間が「願い」を持って、その地に建てたものです。そしてその願いを継承していこうという気持ちを持った人々が手を入れて維持して来たのです。

 家は人が住まないとたちまち傷んで来ます。護る人がいなくなったとき、「ポツンと一軒家」は役目を終えて元の自然に静かに還って行くのでしょう。

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 よく考えれば、私たちは様々な「願い」に包まれて生かされていることに気がつきます。

 「皆が元気で過ごせるように。」という尊い願いを持ってコロナ禍中の私たちを見守って下さっている多くのご先祖の仏さま。そのありがたさに深く感謝したいものです。 

生麦山 龍泉寺

「身は華とともに落ちぬれども、心は香りとともに飛ぶ。」 弘法大師のことばです。仏さまのもとからこの世に生まれ、また仏さまのもとへと、いつか旅立って行く私たち。身体はなくなってしまっても、幸せを願う想いは、いつまでも心から心へと受け継ぐことができるのです…。生麦山龍泉寺は横浜・鶴見の高野山真言宗のお寺です。