いのちのつながり
お寺での法事の参詣者に赤ちゃんがいると、お経の途中に突然ぐずって泣き出してしまうことがあります
八年前に亡くなった先代住職は、そんな時、その子のお母さんに「泣いても大丈夫ですから本堂で一緒に参列してあげて下さい。」と穏やかに伝えていました。法要後、「ご法事は、いのちの教育の場だから…。本尊さまに向かって、ご両親・兄弟・おじいさんおばあさん、おじさんおばさんと一緒に手合わせてお参りする。すると仏さまになられた沢山のご先祖が、「今日はよく来たね。」とあの子の心に話しかけてくださる。今日を一緒に過ごす身近な人たちが、そして遠い過去から自分まで続く多くの人々が、いつも自分の成長を温かく見守ってくれている。あの子はそれを肌で感じて、きっと覚えていてくれる…。」と話していたことを思い出します。
お釈迦さまが悟られた大切な真理・教えに「時間は止められない」と、「一人では生きていけない」ということがあります。
「時間はとめられない」ということは、「全てのものは移り変わっていく」ということ。どんなに財産や世俗の力がある人でも時間だけは止めることはできません。ここから「毎日を大切に生きよう」という教えが生まれてきます。
「一人では生きていけない」とは、「全てのものがお互いを支え合っている」ということ。たとえ無人島で暮らしていても、口に入れる食物は、周りの植物や動物、魚介類などです。他の尊いいのちに支えられて自分の今の生があるのです。このことは「自分を支えてくれる全てのいのちに感謝し、大切にしよう」というメッセージにつながります。
仏教には多くの高度に洗練された哲学がありますが、その根本にあるのは、人々の苦しみを抜き、幸せを与えるという釈尊の慈悲と実践の心であります。(良光)
暖かな日が続き、境内の白梅も満開を迎えました。これから様々な花の季節を迎えます。
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